不登校の問題

2023/11/14

はじめに

こんにちは。今日は、これまでにも何度か耳にされたことがあるであろう、「不登校」という言葉を中心に、子どもたちが直面している教育と心の問題について、共に学び、考える時間を持ちたいと思います。不登校は単一の原因や解決策があるわけではなく、個々の子どもや家庭の状況に根ざした複雑な問題です。その多様性と複雑性を理解しながら、一緒に解明していきましょう。

「不登校」とは?

「不登校(ふとうこう)」は、心理的、社会的、身体的な理由で学校に登校しない、または登校が困難な状態を指します。これは、学校に行くことが困難または不可能である子どもや若者にとって一般的な現象です。不登校に陥る原因は多様であり、それぞれの個人や家庭に特有のものがあります。

不登校になるとされる期間は明確に定義されているわけではないことが多いですが、一般的には児童・生徒が連続して一定期間以上、無断で学校を欠席する場合に不登校と考えられます。具体的な期間の定義は国や地域、学校によって異なる場合があります。

日本の場合、「不登校」について文部科学省が以下のように定義しています。

「不登校児童生徒」とは「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」

引用:文部科学省 不登校の現状に関する認識

日本の不登校児童・生徒の現状

不登校の件数は一定のペースで増加していることが報告されている場合が多いです。

図1

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【出典:「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」について|東京都教育庁指導部

東京都の公立小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校、高等学校、特別支援学校を対象とした調査によると、令和4年度の不登校児童・生徒数は、小学校10,695人、中学校16,217人、合計26,912人でした。令和3年度と比較すると小・中学校ともに増加しています。

また、在籍児童・生徒数(学校基本調査による。)に占める不登校児童・生徒数の割合である不登校出現率は、小学校1.78%、中学校6.85%であり、その割合は小・中学校ともに10年連続で増加しています。

不登校児童・生徒のうち、「指導の結果登校する又は登校できるようになった児童・生徒」の割合である学校復帰率は、小学校29.5%、中学校21.7%でした。その割合は令和3年度と比較して、小学校では増加、中学校では減少しています。

図2

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【出典:「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」について|東京都教育庁指導部

同調査では不登校の要因の調査結果も報告されています(図2)。不登校の要因は、小学校では本人に係る状況の「無気力・不安」が最も多く、次いで家庭に係る状況の「親子の関わり方」、本人に係る状況の「生活リズムの乱れ、あそび、非行」が多い結果となりました。中学校では、本人に係る状況の「無気力・不安」が最も多く、次いで本人に係る状況の「生活リズムの乱れ、遊び、非行」、学校に係る状況の「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が多い結果となりました。

不登校の状態になる原因

不登校の原因は個々の子どもによって異なり、心理的、社会的、学習的、または家庭内の問題など、様々な要因が組み合わさって生じることが多いです。不登校の主な原因について詳しく説明していきます。

1. 心理的な問題

アンガーマネジメントの問題:児童・生徒が怒りやフラストレーションを適切に処理できず、その結果として学校に行くのを拒むことがあります。
社会不安障害:他人との対人関係や、特に集団の中でのパフォーマンスに強い不安を抱え、それが学校への通学を妨げます。

不安とストレス: 学校での試験や人間関係、将来に対する不安などがストレスとなり、学校に行くことが困難になることがあります。

うつ: 学校に行く気力がなくなる、もしくは深刻な気分の落ち込みが原因で学校を欠席することがあります。

学校恐怖症: 学校に対する過度な恐怖や不安が原因で、学校に行けなくなることがあります。

2. 人間関係の問題

いじめ・友人関係のトラブル: いじめの被害者は精神的、感情的なストレスを抱え、学校に行くことが困難になる場合があります。クラスや友人グループからの排除や孤立は、児童・生徒の自己価値感や自尊心を低下させ、学校に行く意欲を失わせることがあります。

先生との関係:児童・生徒と教師との間のコミュニケーションの問題や、教師に対する恐れや不信も、学校への不安を増幅させることがあります。

3. 学習の問題

学習困難:学習困難は、特定の科目やスキル、一般的な学習プロセスで児童・生徒が問題や困難に直面することです。これは、認知能力、注意力、記憶など、様々な要因に由来することがあります。

学習障害: ADHDやディスレクシア(読字障害)などの学習障害が原因で、学校の学習についていけなくなることがあります。

学習への興味喪失: 教科や学校生活に対する興味や意欲が湧かないことが、学校を欠席する要因になることがあります。

評価への恐れ:テストや評価に対する恐怖や不安も、学習に関連する問題です。これは、パフォーマンスへのプレッシャーや、失敗や不完全さに対する恐怖から起こるもので、児童・生徒を学校から遠ざける要因となることがあります。

4. 家庭の問題

家庭内の環境: 家庭内の環境や親の態度、家庭の事情などが、学校生活に影響を与えることがあります。​​親の離婚、別居、家庭内の衝突などは、児童・生徒の精神的な安定を損ない、学校生活にネガティブな影響を与えることがあります。その他にも、経済的な困難や親の精神的な健康問題や依存症も影響を与える要因になることがあります。

親子関係: 親との関係が良好でないと、子どもは学校生活にネガティブな影響を受けることがあります。親が過干渉や過保護である場合、児童・生徒は自己主張や自立の機会を奪われ、学校での対人関係や自己評価に問題を抱えることがあります。

5. 学校との適合性

教育方針: 学校の教育方針や教員との関係、学習環境などが子どもに合っていない場合、不登校になる可能性があります。

環境適応: 新しい環境や変化に適応するのが困難で、それが不登校の原因となることもあります。

不登校の原因はこれらだけにとどまらず、他にも様々な要因が複雑に絡み合っていることが多いです。それぞれの子どもに合ったサポートとケアが必要とされています。

不登校は甘えなのか?

不登校は「甘え」であるとする意見がよく見受けられます。しかし、「甘え」と一概にラベル付けするのは、問題の本質を見逃すことになりかねません。不登校には様々な複雑な要因が組み合わさっていることが多く、それぞれのケースは個別の注意と理解を要します。

以下に、不登校を単なる「甘え」と捉えるのが適切でない理由をご説明します。

複雑な背景

不登校の背景には、家庭の問題、心理的な問題、学校でのいじめや友人関係のトラブル、学習障害など、多様な要因が関与していることが多いです。これらの問題は、単に「甘え」という表現では説明できない複雑さを持っています。

メンタルヘルスの問題

不登校の子どもたちは、不安、うつ、自己評価の低さ、社会不安障害などのメンタルヘルスの問題を抱えていることがあります。これらの問題は、医学的・心理学的なアプローチでのサポートが必要であり、甘えの問題ではありません。

教育環境の適合性

すべての子どもが標準的な学校教育の枠組みに適合するわけではありません。それぞれの子どもが持つ個別のニーズ、興味、能力に合った教育環境やサポートが必要です。

支援の必要性

不登校の子どもたちには適切なサポートとケア、個別のニーズに対応した教育環境、メンタルヘルスのサポート、家庭と学校の協力などが必要です。それらを提供し、子どもたちが自身のポテンシャルを最大限に発揮できる環境を整えることが重要です。

以上のように、不登校は「甘え」と短絡的に捉えるよりも、その背景にある多様な要因を理解し、個別に対応する必要があります。それにより、子どもたちが健全な発達と学びを進められる基盤を築くことができるでしょう。

子どもが不登校の状態になりやすい家庭の傾向

不登校の児童・生徒の増加が社会問題化する中で、一部ではその原因を家庭に求める声も聞かれます。家庭の環境が影響を与えやすいケースもあるのが実情です。しかし、不登校が単純に家庭の問題に起因するものと断じることはできません。ここでは、不登校になりやすい家庭の傾向に焦点を当て、その背後に潜む要因を説明します。

※これらは一般的な傾向を示しており、すべてのケースに当てはまるわけではありません。

1. 親子のコミュニケーション不足

親と子のコミュニケーションが十分でない場合、子どもは自分の感情や問題を共有し、解決する機会を失いがちです。これにより、ストレスや不安が積み重なり、学校に行くことが困難になることがあります。

2. 親のメンタルヘルス問題

親が精神的な問題を抱えている場合、それが子どもに影響を与え、不登校の原因となることがあります。親の安定したメンタルヘルスが、子どもの心の安定にも寄与します。

3. 家庭環境の不安定さ

家庭環境が不安定で、親の関係や生活環境に問題がある場合、子どもは安心感を持てず、学校に行くモチベーションを失う可能性があります。

4. 過保護または放任

過保護な親は子どもの自立を妨げ、放任する親は子どもに必要なサポートとケアを提供できない可能性があります。どちらの場合も、子どもの心の安定や自己肯定感に影響を与え、不登校のリスクを高めることがあります。

5. 教育への過度なプレッシャー

親が子どもに過度な学業のプレッシャーをかけると、子どもはストレスや不安を感じ、学校に行くことを避ける可能性があります。

6. 兄弟姉妹の影響

兄弟姉妹の不登校や問題行動、家庭内での役割や待遇の不平等感なども、子どもの不登校に影響を与える要因となることがあります。

これらの家庭の要素は、子どもが学校に登校することのモチベーションや、学校での適応能力に影響を与える可能性があります。それぞれの子どもと家庭には固有の状況と問題があるため、不登校が単純に家庭の問題に起因するものと決めつけることはできませんが、これらを踏まえたサポートと対策が必要とされています。

不登校児童・生徒に対するサポートの例

児童・生徒が不登校になった際、周囲の大人がどのような対応を取るかはとても重要です。ここでは、不登校状態の児童・生徒に対する一般的なサポートのステップを紹介します。

ステップ1: 問題の特定

気づく

・児童・生徒の様子の変化や学校へ行かないという行動に気付く。

・感情をコントロールして冷静に状況を受け入れ、焦らず対応を考える。

ステップ2: コミュニケーション

話を聞く

・開かれた姿勢で児童・生徒とのコミュニケーションを図り、話を聞く。

・非難せず、理解しようとする姿勢を持つ。

ステップ3: プロフェッショナルな助けを借りる

専門家に相談

・必要に応じて学校のカウンセラーや外部の専門家に相談する。

・状況を正確に伝え、適切な支援を受ける。

ステップ4: 連携とサポート

家庭、学校、コミュニティの連携

・学校やコミュニティと連携し、児童・生徒に適切なサポートを提供する。

・定期的に情報交換と評価を行い、サポートの質を保つ。

ステップ5: 長期的なサポートとフォローアップ

継続的なサポート

・児童・生徒が学校に復帰するまでのサポートを続ける。

・復帰後もフォローアップを行い、再発防止策を講じる。

ステップ6: 再発防止策

再発の予防

・学校と家庭で再発防止のための教育やサポートを継続する。

・児童・生徒のストレス管理とコーピングスキルの向上に努める。

大切なのは、児童・生徒の感情や意見を尊重し、安心・安全な環境でのサポートを重視することです。それにより、児童・生徒は自分の問題と向き合い、解決へと進んでいける力を身につけるでしょう。

不登校児童・生徒に対する学習支援

学校に行けない状態が児童・生徒の学びや成長を妨げてしまう時、新しい可能性を模索し、個々のペースで学びを進める機会を手に入れることもできます。ここでは、不登校児童・生徒が選択できる学習方法を紹介します。

1. 個別カウンセリング

不登校児童・生徒の精神的、感情的な問題を解決するために、専門のカウンセラーや心理士と一対一で会話をします。これによって、児童・生徒の抱える問題や悩みを理解し、適切なサポートを提供します。

2. フリースクールの利用

正規の学校教育に適応するのが困難な児童・生徒のために、より柔軟なカリキュラムとサポートが提供される学びの場のことです。社会とのつながりを保ちながら、プレッシャーなく学べる環境が整備されています。

3. ホームスクーリングとオンライン学習プログラム

家庭で親が教育の役割を果たす方法です。学校のプレッシャーや社会的ストレスから解放され、自宅で個々に合ったペースと方法で学習を進められます。また、オンラインの学習プログラムを活用するという選択肢もあります。柔軟な学習スケジュールや遠隔でのアクセスが可能であり、これによって自身の学びのリズムに合わせつつ、学習の遅れを最小限に抑えることが期待できます。

これらの支援方法は、個々の不登校児童・生徒とその家庭の状況、ニーズに応じて選ばれます。

学びの場の選択肢「フリースクール」とは

不登校児童・生徒が学校以外で学習機会を得る方法をいくつかご紹介しました。次に昨今話題の「フリースクール」についてピックアップします。

2015年に文部科学省によるフリースクールに関する実態調査「小・中学校に通っていない義務教育段階の子どもが通う民間の団体・施設に関する調査」によると、日本全国には約500箇所のフリースクールがあるとされています。また、2015年時点で小・中学生のフリースクール在籍者数は4,200以上とされています。

フリースクールは不登校の児童・生徒のための学びの場として、有効なオプションの一つとされています。フリースクールは正規の学校教育の枠組みから外れた場所で、より自由でフレキシブルな教育が行われるため、不登校の児童・生徒に対して以下のような利点があります。

1. 個別対応

フリースクールは、個々の児童・生徒のニーズに合わせて教育プログラムを提供することができ、学校でのプレッシャーや対人関係の問題から距離を取って、自分らしい学びを追求することが可能です。

2. 自由な学びの環境

自由なカリキュラムと学びの環境により、児童・生徒は自分の興味や能力に基づいて学習を進めることができます。これにより、自主性や自己肯定感を育むことができるでしょう。

3. メンタルヘルスのサポート

フリースクールでは、児童・生徒のメンタルヘルスのサポートも重要視されています。心のケアとともに、自己表現やコミュニケーションスキルの向上に焦点を当てた活動が行われることが多いです。

4. 社会とのつながり

フリースクールは、地域社会と連携し、児童・生徒に実践的な学びと社会経験を提供します。これにより、社会とのつながりを築き、自信を持ってコミュニティに参加する手助けとなります。

5. 安全な場の提供

フリースクールは、不登校の児童・生徒にとって、安心して学びと成長を楽しむことができる場所として機能します。いじめや学校のプレッシャーから解放された環境で、自己を発見し、自己価値を高めることができるでしょう。

ただし、フリースクールにも様々なタイプとカリキュラムがあるため、児童・生徒とその家庭のニーズに最も適したものを選ぶことが大切です。それに加えて、フリースクールは正規の学校教育とは異なる方法で運営・評価されることが多いため、その特性を理解した上で選ぶ必要があります。

不登校を防ぐための対策

不登校を未然に防ぐためには、学校、保護者、そしてコミュニティ全体が一丸となって協力する必要があります。この記事では、各側面から不登校予防のための具体的な対策を紹介します。

学校環境における対策

心の健康のサポート

・メンタルヘルスプログラムの導入

学校は、児童・生徒向けにメンタルヘルスプログラムを設計し導入することで、心の健康を促進します。このプログラムは感情の管理、ストレスへの対処法、心の安定を支えるスキルの向上に焦点を当てます。

・専門的なカウンセリングサービス

学校は専門のカウンセリングサービスを提供し、児童・生徒が安心して自分の感情や悩みを共有できる環境を整えます。これにより、早期に問題を発見し、的確なサポートを提供できます。

いじめの予防と対策

・いじめ予防プログラムの実施

学校はいじめ予防プログラムを設け、生徒全体に対していじめのリスクや影響を理解させ、予防活動を通じて協力と共感の文化を構築します。

・早期発見と的確な対応

教職員はいじめの兆候を早期に察知できるようトレーニングを受け、いじめが発生した場合には即座に的確な対応を行います。生徒が安心して相談できる仕組みも整備されます。

教育環境の改善

・安全で快適な学習環境の確保

学校は安全で清潔な環境を維持し、生徒が学びやすい場所を提供します。これには適切な設備や資材の整備、学舎のメンテナンスが含まれます。

・学びのモチベーション向上のための工夫

教育環境は学びのモチベーションに直結します。学校は授業や学習活動を多様化し、生徒が興味を持ち、主体的に学びに取り組めるような環境づくりに努めます。

個々のニーズに対応

・個別カリキュラムの提供

学校は児童・生徒の学力や興味に合わせて個別カリキュラムを用意し、各生徒が自分のペースで学びを進められるようサポートします。

・専門教育プログラムの展開

特別なニーズを抱える児童・生徒に対して、学校は専門的な教育プログラムを展開し、必要な支援を提供します。

家庭との連携

・家庭訪問や定期的な面談

学校は定期的な家庭訪問や面談を通じて、親との密接なコミュニケーションを図り、児童・生徒の様子や進捗について共有します。

・家庭への情報提供

学校は家庭に対して、学校での出来事や進捗状況に関する情報提供を行い、協力体制を構築します。

家庭環境における対策

コミュニケーション

・共感的な聴き手としての存在

親は子どもの言葉や感情に耳を傾け、共感的な姿勢を持つことが重要です。子どもが悩みを打ち明けやすい雰囲気を作り出しましょう。

・非・非難的な対話の促進

子どもが不安や悩みを話しやすいよう、非非難的で開かれた雰囲気を醸成します。親が非難や批判をせず、理解と受容の態度を示すことが肝要です。

適切な期待値

・個々の能力とニーズの理解

子どもの個々の能力やニーズを理解し、それに基づいて期待を設定します。過度な期待やプレッシャーをかけず、自己成長のペースを尊重します。

・成功体験の強調

成功体験を強調し、子どもに自信を持たせることが重要です。小さな成功でも肯定的に評価し、ポジティブなフィードバックを提供します。

健康的な生活リズム

・ルーティンの確立

家庭では、子どもにとって安定感のある日常のルーティンを確立します。学習時間や休息時間、遊びや外出の時間などをバランスよく組み合わせます。

・健康な食事と睡眠のサポート

栄養バランスのとれた食事や十分な睡眠は、子どもの身体的・精神的な健康に寄与します。親は健康的な生活習慣をサポートし、子どもが十分な休息を取れるよう心掛けます。

情緒のサポート

・感情表現の促進

子どもが感情を適切に表現できるよう促します。自分の感情を理解し、コミュニケーションスキルを向上させることが、精神的な安定感の養成に繋がります。

・自己肯定感の育成

親は子どもの強みや良い点を見つけ、その部分に焦点を当てることで、自己肯定感を高めます。失敗や苦境にも理解と共に立ち向かうサポートが不可欠です。

外部のサポート

・専門家への相談

必要に応じて、心理カウンセラーや教育専門家などの専門家に相談し、子どものニーズに合わせたアプローチを模索します。

・サポートグループへの参加

同様の課題を抱える家族や親同士が集まるサポートグループに参加することで、経験や知識を共有し、助け合いのコミュニティを築くことができます。

コミュニティ・社会の対策

情報提供

・オンラインプラットフォームの活用

インターネット上での情報発信を通じて、不登校の予防と対策に関する情報を容易にアクセスできるようにします。ウェブサイトやソーシャルメディアを通じて、専門的なアドバイスやケーススタディを提供します。

・ワークショップやセミナーの開催

地域で専門家を招いてワークショップやセミナーを開催し、不登校にまつわる問題についての理解を深めます。これにより、コミュニティ全体が共通の知識を共有し、協力体制を築くことが期待されます。

サポートネットワーク

・地域ベースの支援団体の設立

地域社会で児童・生徒とその家族をサポートするための専門団体やボランティアグループを設立します。これにより、直接的な支援が提供され、個別のニーズに合わせたアプローチが可能になります。

・スクールコミュニティの構築

学校や地域の関係者、親、生徒などが参加するコミュニティを構築します。このコミュニティを通じて、情報共有や相談の場が提供され、不登校問題に対する連携が強化されます。

公共のサポート

・学校との連携

公共機関は学校と緊密に連携し、不登校児童・生徒への支援策を共同で検討します。学校と公共機関の協力により、個別のケースに適したサービスが提供されます。

・地域センターやカウンセリングサービス

地域に専門のセンターやカウンセリングサービスが設けられ、不登校問題に関する相談を受け付け、必要なサポートを提供します。

教育の多様性

・オルタナティブスクールの増設

通常の学校教育に適応しにくい児童・生徒のために、オルタナティブスクールを増設します。柔軟な学びの環境を提供し、異なる学習スタイルに対応します。

・遠隔教育の導入

技術の進化を活かし、遠隔教育プログラムを導入します。これにより、健康状態や個々のニーズに合わせて柔軟に学びが進められます。

おわりに

多様な視点と情報を通して、不登校という問題について一緒に学んできました。そして、その中で明らかになったことは、この問題が私たち一人ひとりに関わってくるものであるということです。子どもたちの未来をより明るく、希望に満ちたものにするためには、私たち大人が一緒になって支え、理解し合い、協力し合う姿勢が必要です。一人の子どもも、一人の親も、一人の教育者も孤立していない、そんな暖かく、連帯感のある社会を目指して、一緒に進んでいきましょう。